ナポリからのGIFT

少しでもナポリに興味を持つ人が増えれば、と思い、書いています。ただ、稀にプライベートの事も。

クレモネーゼに注目しよう! Part01

 

 セリエAでは現在、激しい首位争いが展開されている。インテルミランというミラノ勢が激しいデッドヒートを繰り広げる中、そこに追いすがり、そして追い越すべく奮闘するナポリ。更には不気味なユヴェントスアタランタといったクラブが、冬の戦力増強によって、更なる混戦模様を巻き起こそうとしている。
 ところが、それ以上に激しいレースを展開しているといっても過言ではないのがセリエBだ。Aのビッグクラブが期待を込めて送り込んだ若武者から、酸いも甘いも噛み分けたベテランまで、どの選手もAの舞台を目指して戦うその舞台。2月20日現在の暫定順位では、首位に立つUSクレモネーゼから5位のモンツァまでは僅かに4ポイント差。セリエA昇格プレーオフ圏内の8位フロジノーネまでは8ポイント差と、どのチームにも優勝のチャンスが残されているばかりか、一転、セリエAの舞台にすら上がれない可能性も秘めている、たいへん厳しいリーグである

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セリエB上位の順位表(2月20日現在)(Footy Statsより引用)

 そんな中で現在首位に立つのが、前述のとおりクレモネーゼ。ミラノから南東に100キロ弱の小都市クレモナを本拠地とするクラブだ。ユヴェントスが期待をかけてレンタルに送り込んだ若手MFニコロ・ファジョーリや、同じくアタランタからレンタルのGKマルコ・カルネセッキやDFカレブ・オコリが、1月のイタリア代表合宿に召集されており、今注目するに値するチームである。更にはナポリサポーターが期待を寄せるMFジャンルカ・ガエターノも所属する。今回はそのガエターノが、現在首位を走るクラブにおいてどのような活躍をみせているのか、一度チェックしようというところから始まったのだが、折角なので、クレモネーゼというチームや対戦相手についての雑感、更には【気になった選手】もピックアップしているのでチェックしていただきたい。今回は以下のとおり、3試合について書いた。

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ファジョーリ(中央)ほか、クレモネーゼの選手たち(クレモネーゼ公式より)

■第19節:クレモネーゼ×コモ(2-0)

 やはり下部のカテゴリーなだけあって、戦術が洗練されきっているような印象は感じられず、それよりも球際がの激しさが目を引くゲームを展開する両チーム。4-4-2の布陣を採用したクレモネーゼは、そんな中でオーソドックスにサイド攻撃主体で攻勢を強めようとする意識が高く、うまく言語化はできないものの、粗削りだが勢いを感じさせる。前半早々にFWクリスティアン・ブオナイウトが先制ゴールを沈めることに成功。後半には退場者を出したコモを攻めたて、75分には、ウルグアイ人MFハイメ・バエツがクロスボールを押し込んで追加点をゲット。このバエツは決して足の速い選手ではないが、当たり負けしないフィジカルがあるサイドプレイヤーだ。試合はこのまま2-0でクレモネーゼが勝利した。
 そして、初観戦のこの試合において、チームの中心はブオナイウトであるということを、初見にして思い知らされたゲームとなった。詳細は下記をご覧いただきたいが、良くも悪くも自由なポジショニングを取るため、後半に彼と2トップを組んだガエターノが守備に奔走していたのが印象的だ。ちなみにガエターノは前半はボランチでプレーし、効果的にパスを散らし、長短問わずその精度は高かった。

【気になった選手:クリスティアン・ブオナイウト(クレモネーぜ)】
 クレモネーゼの攻撃の要であり、10番を背負う29歳のプレイヤー。セットプレーのキッカーも任される。第24節終了(2月20日)時点で、チーム最多の7ゴールをあげている。キレのあるドリブルなど、攻撃面では際立ったものがある印象を持った一方で、守備時のプレスの質やポジショニングがお世辞にも良いとは言えず、穴をあけることもしばしば。いわゆる王様感が溢れた面白い選手だ。
 セリエBのクラブを転々としてきた過去を持つものの、セリエAの下部クラブでも十分戦力として通用すると感じさせられた。とはいえ、このほど契約を2025年まで延長したところであり、ならばクレモネーゼとともにA昇格を果たし、その舞台を掻き回してほしいところだ。


 

■第20節:レッチェ×クレモネーゼ(1-2)

 この時点で激しい上位争いを展開していたレッチェクレモネーゼの好カードだったが、試合は早々に動く。レッチェのアントニオ・ガッロがクレモネーゼの右サイドを切り崩して先制。センターバックのカレブ・オコリのカバーリング対応があまりにもお粗末であり、上述のとおり1月のイタリア代表合宿にも召集されたプレイヤーながらも、試合を通じて、まだまだ「期待枠」止まりの選手だと思わされるプレーが多かった。この試合では彼からのロングボールの多さも目を引いたが、繋がる回数もまばら。試合終了間際には(後述するが)ショッキングなプレーをしてしまうなど、彼にとっては厳しい展開となった。
 さて、失点直後のクレモネーゼは、前線でボールを奪うと、クロスボールにダニエル・チョファーニがヘッドで反応。セリエAでもプレー経験のあるベテランFW(36歳)が見事に押し込んだ。
 クレモネーゼは若さと勢いでもって、とにかくアグレッシブに戦い、球際で負けないサッカーをする。この試合のスターティングメンバーは、最前線のチョファーニ以外は全員25歳以下という驚くべき若さ。ビルドアップはそこまで上手くなく、かと言ってオコリらのロングボールもなかなか繋がらない中、前半途中からクレモネーゼは守勢の展開が続くが、球際で踏ん張る。しかしながら、試合終了間際にオコリが痛恨のオウンゴール。ヘディングでクリアしようとしたが、これがバックヘッドになり、ボールがゴールマウスへと収まってしまった。試合終了までうなだれ続ける彼の姿が、なかなか痛ましかったのが印象的だ。
 話が逸れるが、この試合、「Daiki exclusive japanese restaurant」という看板がピッチ脇に光っていたことを備忘録がてら記しておく。

【気になった選手:モアテン・ヒュルマンドレッチェ)】
 勝利したレッチェから、ヒュルマンドをピックアップ。いかにもフィジカルが強そうな体格に加えてブロンドヘアーということで、見た瞬間に「北欧系の選手かな?」と思わされたが、案の定、彼はデンマーク人。レッチェの底を支えるバランサーで、最終ラインの前でプロテクトするタイプのアンカー。器用かと言われれば決してそうではないが、身体を張り、そして頑張ってパスを散らす。まだ22歳と若く、いずれAの舞台でも見れるかもしれないと思わされた。



■第21節:クレモネーゼ×モンツァ(3-2)

 この試合の主審を務めたのは、ダヴィデ・マッサセリエAの舞台でも最も有名な審判の一人だ。
 モンツァは左ウィングバック、マルコ・ダレッサンドロが存在感を見せ、クレモネーゼの右サイドをたびたび攻略することで、試合を優位に展開。さらには元サッスオーロのMFルカ・マッツィテリが内側でサポートに入り、クレモネーゼの激しいプレスをかわすことにも成功していた。大柄ながら技術もあるマッツィテリは、ローマのブライアン・クリスタンテに近いタイプのいぶし銀プレイヤーだ。
 しかしながら、そんな中でも個の技術がうまく噛み合うと決定機を創り出すのが、勢いでは負けないクレモネーゼだ。前半26分に、細かいターンからパスを繰り出し、更にはバイタルエリアのポケットに走りこんだファジョーリが、リターンパスを貰ったタイミングで倒された。DAZNにおいてはリプレイが4度も流されるなど、明らかに「これはPKだ!」と言いたくなったものの、ファールなし。それもそのはず、なぜなら主審はAでも名高きマッサである。ファジョーリの巧さが光ったが、Bで武者修行中の若手にAの厳しさを教えたマッサの方が一枚上手な瞬間だった。
 その後、前半33分にはスローインが流れてガエターノがゴールを決め、さらに後半開始直後には、自陣からの長いフリーキックからチョファーニが流し込み2点を先取したクレモネーゼ運要素の強い偶発的な得点の連続で、モンツァにしてみれば、なんともやりきれない失点の連続となってしまった。
 後半9分には注目していたモンツァダレッサンドロが、左45度からのコントロールショットを流し込んで1点を返すものの、クレモネーゼは新加入のセドリック・ゴンド(サレルニターナからレンタル)がフィジカルを活かして強引に突破し、クロスを放り込んだところにベテランFWチョファーニが反応。たったの2人で攻撃を完結させたが、ネガティヴに言えば相変わらず「カタチ」らしきモノはなき得点。試合はその後、モンツァが1点を返して3-2で終了した。
 ちなみに、ナポリ期待のガエターノは存在感無きままに前半のみで交代。はっきり言って得点シーン以外良いところはなく、この試合の出来だけを観れば、トップ下起用は厳しいように映った

【気になった選手:マルコ・ダレッサンドロモンツァ)】
 前述の通り攻め上がりのタイミングの良さもありながら、スピードと技術の両方を活かすドリブルで切り崩せる左ウィングバックで、精力的にアップダウンもできる。体格的には小柄な部類なのと、守備面が得意そうではないので、左サイドバックを任せるには厳しい面もあるかもしれない。とはいえ、コンビネーションもうまく使え、カットインからのシュート、縦への突破からのクロスと、一人だけ次元が違っていたように見えた。既に30歳で、過去はローマやアタランタからのレンタルで、セリエAやBのチームを転々としてきた経歴を持つ。またAで観れたら面白そうだ。

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上記3試合の後の第23節パルマ戦での一幕。ターンオーバーを組んだクレモネーゼだったが、3-1で勝利を収めている(クレモネーゼ公式より)



 

■最後に

 上記3試合以外も観ているが、ひとまず今回はここまでにしておくこととする。
 さて、よくセリエBをご覧になる方からすれば「何を今さら!」と言われるかもしれないが、クレモネーゼは、やはり一見の価値があるチームだ。戦術的には洗練されておらず、勢い任せである点は否めないが、それでも勝てるだけのアグレッシブさを植え付け、若手選手たちを手懐けるファビオ・ペッキア監督のチームマネジメントは見事であるアビスパ福岡では良い成績は残せなかったようだが)。若手逸材がひしめいている点や、現在(2月20日セリエBの舞台で首位と大躍進中で、今後Aの舞台でも観れるかもしれない点も見逃せない。機会があれば、是非ともご自身の目でチェックしてみてはいかがだろうか?
 若手逸材と言えば、アッズーリにも呼ばれた3名。GKカルネセッキ、DFオコリ(ともにアタランタからレンタル)、MFファジョーリユヴェントスからレンタル)については、いずれどこかでまた深く掘り下げることにしたいが、クレモネーゼの試合を観てきた感想としては、まだまだAの舞台で通用するかは未知数だが、下位チームなら出場機会は与えられるのではないか、しかしながら、所属元では出場機会は相当限られるのではないか、というのが個人的な感想だ。もちろん、チームメイトやトレーニング環境が変われば、たちまち成長する場合もあるので、一概には言えない。加えてこの感想は、あくまで僕の主観でしかない。当然ながら、観る人によっては抱く感想も違うであろうから、折角なので、繰り返しにはなるが、ご自身の目で確認することをおススメしたい。
 最後に、言い忘れていたガエターノについてだが、こちらも、いずれ機会があれば記事として触れることにしよう。本当はガエターノのことを書くためにクレモネーゼの試合を観ていたのだが、あまりにクレモネーゼが興味深いチームなので、後回しにさせていただく。ただ、先に念のため言っておくと、上記3選手と同じく、まだまだ修行が必要な身だというのが正直な感想だ