ナポリからのGIFT

少しでもナポリに興味を持つ人が増えれば、と思い、書いています。ただ、稀にプライベートの事も。

ナポリ・プリマヴェーラを調べてみた Vol.01

 

先のフィオレンティーナ戦で、アントニオ・チョッフィ(Antonio Cioffi)ナポリのトップチームでデビューを果たした。チョッフィは下部組織、いわゆるプリマヴェーラ出身だ。プリマヴェーラとは、日本語で「春」を意味する。文字どおり新芽が成長していく時期ということであり、ナポリのみならずイタリアサッカー界においては、この組織で多くの若手が育まれる。

 

チョッフィは2002年生まれで現在18歳。いちばん早くにトップチームに呼ばれてたことからも、恐らくプリマヴェーラの中では有望な若手であることには間違いない。今回の記事では、プリマヴェーラについて書く「第一弾」として、このチョッフィを中心に、僅かばかりではあるが触れていこうと思う。

ただし、「第二弾」以降があるかどうかは、筆者のやる気と気力とモチベーション次第であるのでご了承を。

 

 

■育成責任者を務めるのはこの男

 

ナポリの育成組織(下部組織)において、責任者を務めるのはこの男だ。

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背番号2を背負っていた偉大なプレイヤーだ(ナポリ公式より)

お分かりの方は居るだろうか?そもそも顔が正面から映ってないので、「誰なんだこれは」状態だが、左腕にキャプテンマークを巻いている。正式なカピターノは、この時代ではパオロ・カンナヴァーロだったが、写真の彼は当時のセカンド・キャプテン。ジャンルカ・グラーヴァだ。イタリア下部リーグのクラブを転々とした後、破産後のナポリに加わったのが2005年1月。セリエC1からセリエAの舞台へと歩を進める間、チームを支え続けた選手である。30代にして初のセリエAやチャンピオンズ・リーグ(CL)の舞台を踏んだ苦労人でもある彼は、ナポリというクラブの中で、尊敬を集める人物の1人と言っても過言ではない。あの気難しいアウレリオ・デ・ラウレンティス会長とも関係も良好だ。

 

 

■チョッフィについて語るグラーヴァ

 

グラーヴァはナポリの下部組織上がりのチョッフィがトップチームデビューを果たしたことについて、『Radio Kiss Kiss』で次のように語っている。

 

「ファーストチームで若い選手たちがデビューを果たすのは、最も喜ばしいことだ。この名誉は、チョッフィの成長に貢献した全てのスタッフに与えられるだろう。我々には大きな情熱がある。毎日情熱を持ってピッチ上で仕事をしてるのさ。ファーストチームでプレーすることは、練習の強度が増すと言うことだ。それはつまり、早く成長できるということでもある。」

 

「アントニオ(チョッフィのファーストネーム)?彼は技術的な資質を備えているし、トレーニングにも情熱をもって取り組む選手だ。だが、頭脳も重要だ。選手のキャリアにおいて、7割は頭なんだ。」

 

「チョッフィは2013年から我々と一緒にいて、彼のセリエAデビューは、彼の成長に貢献した多くの人達と分かち合うべきものだ。」

 

「私たちは、トップチームの練習に参加するプリマヴェーラの選手たちとよく話すようにしてるし、成長も見ている。指揮官のガットゥーゾは、皆を平等に扱う人だ。若手にとっては大きなアドバンテージでもあり、更には彼らは、いつも励ましてくれる(カリドゥ・)クリバリ、(ファウジ・)グラム、(ロレンツォ・)インシーニェらのようなプレイヤーとの会話もすることが出来る。精神的にもチョッフィは好きな選手だよ。礼儀正しく素直だ。」

 

グラーヴァはこう述べてとおり、やはりチョッフィには大きな期待が掛かっているようだ。

チョッフィはもともとグラーヴァが発掘してきた選手だと言われており、2013年に加入以降、カテゴリーを上げながらも順調に成長。18-19シーズンには、U-17のカテゴリーでリーグ戦24試合で14ゴールを記録するなど、目覚ましい活躍も披露。左のウィングが主戦場と、トップチームのキャプテン、ロレンツォ・インシーニェの後を継ぐ一人とも目されている。

 

 

■苦戦するプリマヴェーラ、現在の順位を見る

 

(2月25日現在、)ナポリプリマヴェーラは現在8位に位置している。と言っても、これは1部での順位ではなく、2部(Primavera 2B)での順位であり、リーグ戦の構成は12チーム(2部は北部(A)と南部(B)の2リーグ構成となっているため、チーム数は少なくなっている)という中。試合数は最も多いチームより2試合少なく、更にはトップチームに選手が抜かれていってしまっている状況ではあるものの、(人によって見方は変わるだろうが)正直微妙な順位だと言えるのではないだろうか。2試合消化の多い首位ペスカーラとは13ポイント差と、追いすがるには厳しい位置にいる。ここまで3勝2分3敗と、セリエAで上位を争うチームの下部組織としては、物足りない結果だ(尚、念のために触れておくと、1部での首位はローマ、2位はユヴェントス)。直近のゲームでも、ペスカーラに敗れ、順位を上げられず。逆に、勝利したペスカーラは先にも触れた通り首位に浮上した。

苦戦するU-19のチーム。ここで、現在の指揮官について触れておきたいが、その前に、昨シーズンまでの指揮官についても触れておかねばなるまい。それが彼、ロベルト・バローニオである。

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真ん中はアンドレア・ピルロtuttojuve24.itより)

彼と言っても、この3名の内誰なのか?真ん中がご存知ピルロなら、元ナポリU-19の指揮官は写真の右側の人物、ロベルト・バローニオだ。バローニオは、ブレシアラツィオなど、国内のクラブを転々とした後、指導者キャリアをスタート。現在はユヴェントスコーチングスタッフとして働いているが、言うまでもなく、彼がナポリU-19のチームを混迷に巻き込んだ張本人である(と敢えて言いたい)。

ナポリU-19経由で、その後ユヴェントスに行ったのだから、敢えてここでは、雇い主のフロント陣営の失態は無視をする。バローニオ率いるU-19での成績は残念なモノだった。18-19シーズンこそ10位という中位で終わったモノの、翌シーズンは成績が振るわず1月に解任。奇しくもトップチームの指揮官交代と時期と完全に重なっているが、トップチームとは異なりそこから立て直すことができなかったナポリU-19は結局2部へと降格をした。

そして、現在指揮を執るのが、エマヌエル・カッショーネ知名度の高さではバローニオに劣る、過去はプロヴィンチャを転々としてきたキャリアを持つ、37歳だ。主に3バックを採用するカッショーネの下で、ナポリU-19は先にも述べたとおり、2部で(最多で2試合少ない中)8位。カッショーネ自身も「戻るべき位置に戻らないといけない」と語るとおり、1部に復帰することを目標に戦っている最中だ。

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カッショーネ(Transfermarktより)

37歳という年齢からも分かるとおり、コーチングキャリアは非常に浅く、過去に指揮したのは1チームのみ。どうやら過去に彼の父親がナポリコーチングスタッフだった経緯もあって、U-19を指揮することになっているようだが、果たしてこの選択がどう出るか。

 

 

プリマヴェーラに注目してみよう

さて、この企画の最後にはなるが、プリマヴェーラのハイライトを観るのもなかなか面白い。フルマッチはなかなか見れないが、YouTubeなどにはプリマヴェーラの試合が上がっている。例えば、ジュゼッペ・ダゴスティーノ(Giuseppe D’agosutino)は切れのあるドリブルを見せる攻撃的なプレイヤーで、今はチョッフィと共にトップチームに呼ばれているが、これからが楽しみだと思わせてくれる選手だ。トップチーム昇格を夢見て奮闘する下部組織の有望株を見つけ出し、そのキャリアを追ってみるのも面白いかもしれない。もっとも、ナポリは下部組織上がりの選手が極端に少ないのが悩みではあるが…。
もし次回プリマヴェーラについて書く時が来れば、下部組織上がりの選手がどれだけ少ないのか、調べてみようと思う。だが、イタリア語ができないので果たして次の機会はあるや否や…。