ナポリからのGIFT

少しでもナポリに興味を持つ人が増えれば、と思い、書いています。ただ、稀にプライベートの事も。

ナポリファンが選ぶ今季最優秀選手は?

 

 2021-22シーズンを終えて1週間ほどが経過した。今季のナポリの目標は、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を確保することであったことを考えると、3位という順位には十分な合格点が与えられる。
 今回は、今シーズンの結果を踏まえて、先日アンケートフォームをTwitter上に投稿し、76名の方に行っていただいたナポリ各選手の採点結果を公表する。尚、文章量の都合上、上位&下位5名を、それぞれ「よく頑張ったで賞」「もっと頑張りま賞(古くせぇ)としてピックアップすることにする。

※採点については、4~8点の5段階評価(及第点は6)で行っていただきました。ご協力いただいた皆様、たいへんありがとうございました。

 

もっと頑張りま賞

第5位 DF #31 ファウジ・グラム 5.3Pt

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 今季でナポリを離れるグラム。いまだにマンチェスター・シティ戦での大怪我がなければと悔やんでも悔やみきれないが、マウリツィオ・サッリ政権期のグラムは世界でも有数の左サイドバックだったと思う。今季は新型コロナで離脱したマリオ・ルイの穴埋めを中心とした起用が多く、顔を拝む機会は少なかった。それでも、アウェーのユヴェントス戦に先発し、苦しい台所事情の中でも勝ち点1の獲得に貢献するなど、できることはやってくれた。印象的な活躍をした他の選手と比べると点数は低くなってしまうが、最後に有終の美を飾ってあげられたのは、本人、チームメイト、ファン、全員にとって幸せだっただろう。

第4位 FW #37 アンドレア・ペターニャ 5.2Pt

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 今季の起用法は第3のフォワードで、出場時間は限られていた。アクロバティックなシュートや、ゴール前での謎の落ち着きぶりから多くのアシストを記録するなど、意外性のあるプレーを見せてくれた。しかしながら、ヴィクター・オシメンやドリース・メルテンスと比較すると、残念ながら確固たる武器が見つからないのも事実。おまけに守備意識が前者2人ほど高くないのもネガティヴ・ポイント。先発で起用された第18節のミラン戦では、身体を張って頑張っていたのが、個人的にはいい思い出。

第3位 GK #1 アレックス・メレト 4.9Pt

 イタリア代表に選ばれ続けているにもかかわらず、ナポリでは報われないメレト。シュートストップの技術は抜群で、空中戦もそこそこ安定している。それでもこの点数に留まってしまう最大の理由は、ご存じのとおり足元の不安定さだろう。ダビド・オスピナにこの部分で水を空けられ、今季もレギュラー奪取はならず、気づけば彼も25歳。加入当初は10年ぐらいナポリゴールマウスを守ってくれるのではと思っていたが、その将来も怪しくなってきた。

第2位 DF #2 ケヴィン・マルクィ 4.6Pt

 「もっと頑張りま賞」だが、ナポリでもっと頑張る姿を観ることはできないであろうマルクィ。今季で契約が満了し、退団が確実だ。それでも、アタランタ戦での活躍は素晴らしかったのは忘れない。低い位置でプレーすると、繋ぎの粗さや守備の不安定さが露呈するが、高い位置ならスピードを活かした突破や意外性のあるクロスボールは素晴らしかった。グラムやロレンツォ・インシーニェの影に隠れてひっそりと退団するが、幸運を祈りたい。そういえば、マルクィ含めてこの3人は、皆靭帯の大ケガ経験組だった。彼もまた、ケガをしなければどんなキャリアを歩んでいたのだろうか。

第1位  DF #3 アクセル・トゥアンゼベ 4.3Pt

   

 今冬レンタルで加わったトゥアンゼベが「もっと頑張りま賞」のトップに。移籍直後のコッパ・イタリアナポリ・デビューを果たすも、その後はケガの影響で姿をお目見えすることなくシーズン終了。センターバック4番手としての加入であったため、チームにとっては大きな痛手にはならなかったが、折角ナポリに来てくれたのだから、少しは活躍する場面を観たかったなぁというのが正直な感想である。本人にとっても不完全燃焼だっただろうが、今後大きく羽ばたいて、プレー機会を与えてあげられなかったナポリを後悔させてほしい。

 

よく頑張ったで賞

第5位 FW #9 ヴィクター・オシメン 7.3Pt

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 今季は公式戦32試合に出場し、18ゴール。顔面の大怪我があったにもかかわらず、その離脱期間以外ではコンスタントに活躍。評価も上々だ。それだけに来季は求めるものも大きくなる。裏に飛び出すスピードは相手にとって常に脅威となるが、ミラン戦でフィカヨ・トモリらに完封されたように、レベルが高い相手には更にプレーの幅を広げる必要があるだろう。実際、ナポリ以外のトップ4相手には0ゴールと沈黙。味方との連携を活かすプレーを増やしたり、熱くなりやすいメンタルのコントロールなど、パーフェクトなストライカーになるためにはまだまだやるべきことは多い。

第4位 DF #22 ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ 7.4Pt

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 キャリア初ともいえるケガを経験した以外は、今季も順風満帆に過ごした。堅実な守備、タイミングのいい攻め上がり、繋ぎの局面での冷静さ。どれをとってもサイドバックとしてはセリエAトップクラスで、本当に頼りになる。緊急時には本職の右サイドバックを控えに任せ、ボランチや左サイドバックに回ることもあるなど、スパレッティにとっても重要な存在。彼にできないことは何があるだろうか?フォワードをやらせてもしれっとゴールを奪いそうだ(幼少時代のポジションはフォワードらしい)。

第3位 MF #68 スタニスラフ・ロボツカ 7.5Pt

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 他の中盤の選手を差し置いて、このスロバキア人がランクイン。今季最大のサプライズを提供した。ジョルジーニョのようにチームにリズムを与えるショートパスや、奪われる気配のないボールキープなどを駆使し、ビルドアップの要衝に。これは、指揮官がインテルでマルセロ・ブロゾヴィッチを成長させたデジャヴなのかもしれない。小柄ながら守備も頑張ってくれるこのボランチは、来季も楽しみな存在になるだろうし、ファビアン・ルイスが退団したら、より重要な立場になる。

第2位 GK #25 ダヴィド・オスピナ 7.6Pt

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 31試合で25失点。セリエA最優秀ゴールキーパーミランのマイク・メニャン(32試合で19失点)だったが、この男はそれに次ぐ活躍だったと言っても良いだろう。ピッチ中央に縦パスを通す技術、ポジショニングの良さに裏付けられた安定したセービングは流石の一言。もちろん、チームを救うビッグセーブも多かった。33歳ながら、キャリアで最高のシーズンを過ごしたと言っても過言ではない。今夏で契約が満了するだけに、狙うチームはレアル・マドリ―やラツィオなど、数多い。

第1位 DF #26 カリドゥ・クリバリ 7.7Pt

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 相変わらずの鉄壁ぶりを見せたクリバリが、最も「よく頑張ったで賞」。開幕直後のユヴェントス戦で決勝ゴールを決め、エモーショナルにシーズンを滑り出し、代表戦から戻ってきた1月後半からは圧巻のプレーの連続。ミランと並ぶ最少失点の守備陣に大きく貢献した。毎年のように移籍が噂されるが、毎年残留を果たすこの男。この夏も残留するだろうし、新カピターノに就任するだろう。より責任が重くなるが、それにふさわしいプレーを継続してくれることに期待したい。

 

■採点結果一覧と所感

 上位5名以外にも、ファビアンやラフマニなど、今季安定した活躍ぶりを見せたメンツが7Pt以上に。一方で、主力でありながらも継続性に欠いた印象のある、ピオトル・ジエリンスキやマッテオ・ポリターノは6Pt以下に終わった。個人的な雑感だが、ジエリンスキ、君はもっとできるんだから来季こそナポリの主軸としてもう一回頑張ってほしい。
 採点結果は以下のとおり(小数点第二位で四捨五入)。

 7.7Pt カリドゥ・クリバリ
 7.6Pt ダヴィド・オスピナ
 7.5Pt スタニスラフ・ロボツカ
 7.4Pt ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ
 7.3Pt ヴィクター・オシメン
 -------------------
 7.3Pt ドリース・メルテンス
 7.2Pt ファビアン・ルイス
 7.1Pt アミール・ラフマニ
 6.9Pt アンドレ=フランク・ザンボ・アンギサ
 6.9Pt マリオ・ルイ
 6.6Pt ロレンツォ・インシーニェ
 6.6Pt ファン・ジェズス
 6.2Pt エリーフ・エルマス
 6.1Pt イルヴィング・ロサーノ
 6.0Pt ピオトル・ジエリンスキ
 -------------------
 5.8Pt アレッサンドロ・ザノーリ
 5.8Pt マッテオ・ポリターノ
 5.5Pt ディエゴ・デンメ
 5.4Pt アダム・ウナス
 ------------------- 
 5.3Pt ファウジ・グラム
 5.2Pt アンドレア・ペターニャ
 4.9Pt アレックス・メレト
 4.6Pt ケヴィン・マルクィ
 4.3Pt アクセル・トゥアンゼベ

 ※76名の皆さま、ご協力ありがとうございました! 

ナポリの選手の去就は…?現時点での噂を確認しよう

 

 この代表ウィーク中には、イタリア代表がワールドカップ出場を逃すという衝撃的な出来事が起きたが、一方で、クラブレベルのシーズンはまだまだ続いていく。今回は来季の去就が不透明な選手たちの噂を紹介しよう。

 

■ガエターノとゼルビンの将来は?

 ジャンルカ・ガエターノセリエB首位に立つクレモネーゼにレンタル移籍をしており、印象的な活躍をしている。これまでに28試合(内21試合に先発)に出場。中盤センターやトップ下だけではなく、時には左サイドでのプレーもこなすなど、高い順応性を見せている。「TTTOmercatoWEB によれば、クレモネーゼのスポーツ・ディレクター、シモーネ・ジャッチェッタは、「才能のある選手だ。今季彼は良く成長している。」と大きく評価。また、この代表ウィーク中にはU-21イタリア代表の一員としてもプレーするなど、その将来が楽しみになってきている。
 一方、同じくセリエBフロジノーネにレンタル中のアレッシオ・ゼルビンは主にこ左のウィンガーとしてプレー。1月の月間最優秀選手に選出されるなどの活躍ぶりで、これまでに7ゴールを記録している。
 セリエBで十分に通用していると目される彼らは、どうやら来季のトップチーム入りに近づいているようだ。同じく「Tutto Napoli.net」は、ガエターノとゼルビンは来シーズンはナポリに復帰するだろうと予想しており、ナポリでさらなる成長を促したい考え。

■左サイドバックの補強は?

 ファウジ・グラムが契約満了で退団することが濃厚な左サイドバックだが、ヘタフェのマティアス・オリヴェラの獲得に近づいているようだ。「TTTOmercatoWEB」によると、両クラブは買取義務付きの1年間のローンで合意に近づいているとのこと。移籍金は€1100万に€300~400万のボーナスが付帯。一方で、ユヴェントスアトレティコ・マドリーも彼の獲得に興味を持っているようだ。
 ウルグアイ代表でも主力を務める彼が加入することになれば大きな戦力になるだろうが果たして…?

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先日のワールドカップ予選でもプレーしたオリヴェラ(ヘタフェ公式より)



■アンギサの買取りは、フラムと交渉中?

 英「Team Talk」によるとアンドレ=フランク・ザンボ・アンギサを完全移籍で買取りたいナポリだが、買取条項の€1500万からの値引きを図っているとのこと。とはいえ、レンタル元のフラムとの交渉は困難が予想され、アンギサ本人の意向など、場合によってはフラムに戻る可能性もあるようだ(ナポリへのレンタル前に、フラムとの契約を延長している)。
 一方で、ローマで出番を失いつつあるジョルダン・ヴェレトゥは、ナポリが長い間獲得に関心を示してきた選手だが、彼の代理人、マリオ・ジュフレディによると、ナポリ加入はないだろうと予想。「Corriere dello Sport」が伝えている。「経験豊富な選手よりも若い選手を好むだろう」とのことであり、ピオトル・ジエリンスキやスタニスラフ・ロボツカを擁する面々の中では彼を獲得する必要性は薄れてきているのも事実だ。尚、そのヴェレトゥには、インテルが獲得に興味を示しているとも伝えられている。

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フラムからレンタル中のアンギサ(ナポリ公式より)

 

■ファン・ジェズスとは契約延長?

 これまで安定したプレーを見せて、存在感を高めているファン・ジェズス。「TTTOmercatoWEB」によると、ナポリはチャンピオンズ・リーグ出場権を獲得した場合のみに行使できる、1年の契約延長オプションの行使に向けて議論を行うと見られている。
 一方で、同じく契約満了が近づくダビド・オスピナは、「Calciomercato.com」が報じるところによると、ラツィオレアル・マドリーが獲得に興味を示しているとのこと。それにより、現在控えに降格しているアレックス・メレトは、彼の代理人とクラブとの間で、数日中にも交渉が行われる可能性がある。彼の先発出場を確約することが条件に盛り込まれるようだ。
 最後にドリース・メルテンスについてだが、いまだ去就は不透明。€450万とも言われるサラリーの減額を呑まない限り、契約延長はないと見られている。インテルが獲得に興味を示しているといわれる中、果たしてフロントはどのような決断を下すのか。

ラツィオに競り勝ったナポリはスクデットの本命か?

 

 ファビアン・ルイスの左足から放たれるコントロールショットは一級品だ。ラツィオとの一戦で、後半アディショナルタイムにこのスペイン人MFが描いた見事な放物線は、ナポリが現状、スクデットを争うのにふさわしいクオリティとメンタリティを持ち合わせていることの、何よりもの証明になったに違いない。開幕前の大方の予想を裏切り、一時的とはいえ暫定ながらも首位の座を奪還した(3月5日現在、インテルが勝利したため2位となっている)ナポリは、果たしてどこまでその歩みを止めずに進むことができるのか。次節は勝ち点57で並ぶミランとの大一番だが、それを前に、この好成績の理由を紐解いてみよう。

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ラストプレーで見事なゴールを決めたファビアン(ナポリ公式より)

 

■「継続」を選択

 今季のセリエAにおいて、開幕前に大きな話題をさらったのは「指揮官交代劇」だった。上位を占めるクラブの中で、指揮官の交代がなかったのはミランアタランタのみ。ナポリもその例に漏れず、ジェンナーロ・ガットゥーゾとの契約更新を拒否し、ルチアーノ・スパレッティを新指揮官として招聘した。
 長く続いたユヴェントス一強時代が終焉し、まさしく「変革」セリエAの21-22シーズンを戦うにあたって、指揮官交代をしたナポリを、それでも敢えて「継続」と表現したのは、彼に率いられるメンツは前年とはほぼ変わり映えのないメンバーだったからだ。そして、ここに今季の好調ぶりの理由を求めることができる。
 昨シーズン、最終節でエラス・ヴェローナに敗れて5位に転落した屈辱をまだ記憶に留めたまま迎えた今季、アンドレ=フランク・ザンボ・アンギサ(フラムから加入)とファン・ジェズス(自由移籍)、クロトーネからレンタルバックしたアダム・ウナス以外の新戦力は不在。十分に相互理解が進んだ面々がスパレッティと共に築くのは、大きな枠組みで見れば「ボール保持」という、ここ10年ほどガットゥーゾ就任直後を除く)ナポリに息づくサッカーである。ジョゼ・モウリーニョが就任したローマや、クリスティアーノ・ロナウドと決別し、更にはマッシミリアーノ・アッレグリを呼び戻したユヴェントスのような荒療治は施さず、長らくボール保持を好んでいるナポリのメンバーが、可能な限りそのサッカーを追い求められるよう、スパレッティは戦術を構築した。
 ボール保持を好むメンバーを既に揃えているナポリに、正しい文脈を提供し、正しい理解を促せば、それは素晴らしい成績に繋がるというものだ。プレシーズンからのその成果を見せたのが、開幕からの破竹の8連勝。ヴィクター・オシメンという、爆発的な個の力を持つ戦術兵器に頼りがちだった部分を否定はしないが、前任のガットゥーゾには欠けていた戦術的な要素をスパレッティが提供し、選手たちが躍動。「革命を起こすためではなく、いくつかの事を加えるためにナポリに来た」とは、スパレッティ本人がシーズン前に語った言葉であるが、「有言実行」とはまさしくこのことである。

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指揮を執るスパレッティナポリ公式より)

■「継続」の中にもプラスアルファ要素が

 それでも、シーズンは長くて忙しない。故障や新型コロナウイルスによる離脱者を想定すれば、そんなシーズンを順風満帆に過ごすことなど不可能に近い。案の定、多くの選手がチームから離脱し、更にはスパレッティナポリの対策が進んだ12月以降は厳しい戦いを強いられることになった。
 だが、それでもナポリは勇敢に戦い、主力の不在を選手層でカバーする。「継続」の中でもプラスアルファの要素を見出すとすればこの点だろう。かつては選手層の薄さを理由の一つとして、後半戦に失速するパターンがお馴染みとも言えたナポリだが(マウリツィオ・サッリ政権期がその典型だ)、今季はそうでもなさそうだ。スタニスラフ・ロボツカ、ファン・ジェズス、エリーフ・エルマスといったバックアッパーたちが、主力が抜けた穴を最小限に留めるだけではなく、自らも主役の座を手に入れんばかりの活躍ぶり。1月には起用可能な控えの選手が2~3人しかいないようなゲームもあったものの、振り返ってみれば、年明け以降(1~2月)はカンピオナートで5勝3分け。この期間、無敗を継続できたのはユヴェントスナポリだけだ今後も、充実した選手層を武器に戦えるナポリは、そう簡単に勝ち点を落とすことはないはずだ(と信じたい)。
 だが、よく考えてほしい。選手層がプラスアルファ要素になったとはいえども、今シーズンのメンバーは、昨シーズンのそれとほとんど変わりないと、先ほども触れたところだ。例えば、先日のラツィオ戦でスターティングイレブンに名を連ねた11人の中に、今季の新加入選手は1人としていない。結局のところ、このプラスアルファ要素も、スパレッティが選手たちを信頼して正しい文脈を与えた末、それに選手達が見事に応えた結果とも言えるわけだ。

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シーズン後半戦でナポリの核となったロボツカ(ナポリ公式より)

 

■狙うはまずはCL出場権だ

 さて、ミラン戦を前に、イルビング・ロサーノやアンギサがケガから戻ってくるというグッド・ニュースも各メディアから流れている。彼らをスカッドに含んで挑むミランとの大一番は、当然ながらスクデットの行方に関わる一戦となるだろう。だが、今季のナポリにとっては、あくまでチャンピオンズ・リーグ(CL)への復帰が最優先の目標だ。シーズン開幕前からスパレッティは、事あるごとにそのように明言している。また、ラツィオ戦前の記者会見で彼は、「タイトルとCL出場圏内の順位をめぐって、多くのチームが争っている」という見解を示していたが、裏を返せば、まだCL出場権が確約された状況にはないという、心の内の現れではないだろうか。そんな状況では、「スクデットの本命」だとは口が裂けても言えない。まず最初に確保すべきはCL出場権。クラブ経営的にもスカッドの質向上のためにも、譲ることのできない舞台である。
 だが、仮にCL出場権を早期に確保し、その時点で優勝を争っていた場合だ。スパレッティによって新たにもたらされた選手層をもってすれば、最後まで優勝を争うことができるはず…と言いたいところだが、ラツィオ戦で見せたような強いメンタリティが維持できるかどうかも、最重要ポイントの一つとなるだろう。ナポリに長らく欠如しているそのポイントもスパレッティが改善できているのかどうか。シーズン最終盤はそんなところにも注目して、「目標はCL、夢はスクデット。こんなスタンスで見守りたいものである。

クレモネーゼに注目しよう! Part01

 

 セリエAでは現在、激しい首位争いが展開されている。インテルミランというミラノ勢が激しいデッドヒートを繰り広げる中、そこに追いすがり、そして追い越すべく奮闘するナポリ。更には不気味なユヴェントスアタランタといったクラブが、冬の戦力増強によって、更なる混戦模様を巻き起こそうとしている。
 ところが、それ以上に激しいレースを展開しているといっても過言ではないのがセリエBだ。Aのビッグクラブが期待を込めて送り込んだ若武者から、酸いも甘いも噛み分けたベテランまで、どの選手もAの舞台を目指して戦うその舞台。2月20日現在の暫定順位では、首位に立つUSクレモネーゼから5位のモンツァまでは僅かに4ポイント差。セリエA昇格プレーオフ圏内の8位フロジノーネまでは8ポイント差と、どのチームにも優勝のチャンスが残されているばかりか、一転、セリエAの舞台にすら上がれない可能性も秘めている、たいへん厳しいリーグである

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セリエB上位の順位表(2月20日現在)(Footy Statsより引用)

 そんな中で現在首位に立つのが、前述のとおりクレモネーゼ。ミラノから南東に100キロ弱の小都市クレモナを本拠地とするクラブだ。ユヴェントスが期待をかけてレンタルに送り込んだ若手MFニコロ・ファジョーリや、同じくアタランタからレンタルのGKマルコ・カルネセッキやDFカレブ・オコリが、1月のイタリア代表合宿に召集されており、今注目するに値するチームである。更にはナポリサポーターが期待を寄せるMFジャンルカ・ガエターノも所属する。今回はそのガエターノが、現在首位を走るクラブにおいてどのような活躍をみせているのか、一度チェックしようというところから始まったのだが、折角なので、クレモネーゼというチームや対戦相手についての雑感、更には【気になった選手】もピックアップしているのでチェックしていただきたい。今回は以下のとおり、3試合について書いた。

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ファジョーリ(中央)ほか、クレモネーゼの選手たち(クレモネーゼ公式より)

■第19節:クレモネーゼ×コモ(2-0)

 やはり下部のカテゴリーなだけあって、戦術が洗練されきっているような印象は感じられず、それよりも球際がの激しさが目を引くゲームを展開する両チーム。4-4-2の布陣を採用したクレモネーゼは、そんな中でオーソドックスにサイド攻撃主体で攻勢を強めようとする意識が高く、うまく言語化はできないものの、粗削りだが勢いを感じさせる。前半早々にFWクリスティアン・ブオナイウトが先制ゴールを沈めることに成功。後半には退場者を出したコモを攻めたて、75分には、ウルグアイ人MFハイメ・バエツがクロスボールを押し込んで追加点をゲット。このバエツは決して足の速い選手ではないが、当たり負けしないフィジカルがあるサイドプレイヤーだ。試合はこのまま2-0でクレモネーゼが勝利した。
 そして、初観戦のこの試合において、チームの中心はブオナイウトであるということを、初見にして思い知らされたゲームとなった。詳細は下記をご覧いただきたいが、良くも悪くも自由なポジショニングを取るため、後半に彼と2トップを組んだガエターノが守備に奔走していたのが印象的だ。ちなみにガエターノは前半はボランチでプレーし、効果的にパスを散らし、長短問わずその精度は高かった。

【気になった選手:クリスティアン・ブオナイウト(クレモネーぜ)】
 クレモネーゼの攻撃の要であり、10番を背負う29歳のプレイヤー。セットプレーのキッカーも任される。第24節終了(2月20日)時点で、チーム最多の7ゴールをあげている。キレのあるドリブルなど、攻撃面では際立ったものがある印象を持った一方で、守備時のプレスの質やポジショニングがお世辞にも良いとは言えず、穴をあけることもしばしば。いわゆる王様感が溢れた面白い選手だ。
 セリエBのクラブを転々としてきた過去を持つものの、セリエAの下部クラブでも十分戦力として通用すると感じさせられた。とはいえ、このほど契約を2025年まで延長したところであり、ならばクレモネーゼとともにA昇格を果たし、その舞台を掻き回してほしいところだ。


 

■第20節:レッチェ×クレモネーゼ(1-2)

 この時点で激しい上位争いを展開していたレッチェクレモネーゼの好カードだったが、試合は早々に動く。レッチェのアントニオ・ガッロがクレモネーゼの右サイドを切り崩して先制。センターバックのカレブ・オコリのカバーリング対応があまりにもお粗末であり、上述のとおり1月のイタリア代表合宿にも召集されたプレイヤーながらも、試合を通じて、まだまだ「期待枠」止まりの選手だと思わされるプレーが多かった。この試合では彼からのロングボールの多さも目を引いたが、繋がる回数もまばら。試合終了間際には(後述するが)ショッキングなプレーをしてしまうなど、彼にとっては厳しい展開となった。
 さて、失点直後のクレモネーゼは、前線でボールを奪うと、クロスボールにダニエル・チョファーニがヘッドで反応。セリエAでもプレー経験のあるベテランFW(36歳)が見事に押し込んだ。
 クレモネーゼは若さと勢いでもって、とにかくアグレッシブに戦い、球際で負けないサッカーをする。この試合のスターティングメンバーは、最前線のチョファーニ以外は全員25歳以下という驚くべき若さ。ビルドアップはそこまで上手くなく、かと言ってオコリらのロングボールもなかなか繋がらない中、前半途中からクレモネーゼは守勢の展開が続くが、球際で踏ん張る。しかしながら、試合終了間際にオコリが痛恨のオウンゴール。ヘディングでクリアしようとしたが、これがバックヘッドになり、ボールがゴールマウスへと収まってしまった。試合終了までうなだれ続ける彼の姿が、なかなか痛ましかったのが印象的だ。
 話が逸れるが、この試合、「Daiki exclusive japanese restaurant」という看板がピッチ脇に光っていたことを備忘録がてら記しておく。

【気になった選手:モアテン・ヒュルマンドレッチェ)】
 勝利したレッチェから、ヒュルマンドをピックアップ。いかにもフィジカルが強そうな体格に加えてブロンドヘアーということで、見た瞬間に「北欧系の選手かな?」と思わされたが、案の定、彼はデンマーク人。レッチェの底を支えるバランサーで、最終ラインの前でプロテクトするタイプのアンカー。器用かと言われれば決してそうではないが、身体を張り、そして頑張ってパスを散らす。まだ22歳と若く、いずれAの舞台でも見れるかもしれないと思わされた。



■第21節:クレモネーゼ×モンツァ(3-2)

 この試合の主審を務めたのは、ダヴィデ・マッサセリエAの舞台でも最も有名な審判の一人だ。
 モンツァは左ウィングバック、マルコ・ダレッサンドロが存在感を見せ、クレモネーゼの右サイドをたびたび攻略することで、試合を優位に展開。さらには元サッスオーロのMFルカ・マッツィテリが内側でサポートに入り、クレモネーゼの激しいプレスをかわすことにも成功していた。大柄ながら技術もあるマッツィテリは、ローマのブライアン・クリスタンテに近いタイプのいぶし銀プレイヤーだ。
 しかしながら、そんな中でも個の技術がうまく噛み合うと決定機を創り出すのが、勢いでは負けないクレモネーゼだ。前半26分に、細かいターンからパスを繰り出し、更にはバイタルエリアのポケットに走りこんだファジョーリが、リターンパスを貰ったタイミングで倒された。DAZNにおいてはリプレイが4度も流されるなど、明らかに「これはPKだ!」と言いたくなったものの、ファールなし。それもそのはず、なぜなら主審はAでも名高きマッサである。ファジョーリの巧さが光ったが、Bで武者修行中の若手にAの厳しさを教えたマッサの方が一枚上手な瞬間だった。
 その後、前半33分にはスローインが流れてガエターノがゴールを決め、さらに後半開始直後には、自陣からの長いフリーキックからチョファーニが流し込み2点を先取したクレモネーゼ運要素の強い偶発的な得点の連続で、モンツァにしてみれば、なんともやりきれない失点の連続となってしまった。
 後半9分には注目していたモンツァダレッサンドロが、左45度からのコントロールショットを流し込んで1点を返すものの、クレモネーゼは新加入のセドリック・ゴンド(サレルニターナからレンタル)がフィジカルを活かして強引に突破し、クロスを放り込んだところにベテランFWチョファーニが反応。たったの2人で攻撃を完結させたが、ネガティヴに言えば相変わらず「カタチ」らしきモノはなき得点。試合はその後、モンツァが1点を返して3-2で終了した。
 ちなみに、ナポリ期待のガエターノは存在感無きままに前半のみで交代。はっきり言って得点シーン以外良いところはなく、この試合の出来だけを観れば、トップ下起用は厳しいように映った

【気になった選手:マルコ・ダレッサンドロモンツァ)】
 前述の通り攻め上がりのタイミングの良さもありながら、スピードと技術の両方を活かすドリブルで切り崩せる左ウィングバックで、精力的にアップダウンもできる。体格的には小柄な部類なのと、守備面が得意そうではないので、左サイドバックを任せるには厳しい面もあるかもしれない。とはいえ、コンビネーションもうまく使え、カットインからのシュート、縦への突破からのクロスと、一人だけ次元が違っていたように見えた。既に30歳で、過去はローマやアタランタからのレンタルで、セリエAやBのチームを転々としてきた経歴を持つ。またAで観れたら面白そうだ。

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上記3試合の後の第23節パルマ戦での一幕。ターンオーバーを組んだクレモネーゼだったが、3-1で勝利を収めている(クレモネーゼ公式より)



 

■最後に

 上記3試合以外も観ているが、ひとまず今回はここまでにしておくこととする。
 さて、よくセリエBをご覧になる方からすれば「何を今さら!」と言われるかもしれないが、クレモネーゼは、やはり一見の価値があるチームだ。戦術的には洗練されておらず、勢い任せである点は否めないが、それでも勝てるだけのアグレッシブさを植え付け、若手選手たちを手懐けるファビオ・ペッキア監督のチームマネジメントは見事であるアビスパ福岡では良い成績は残せなかったようだが)。若手逸材がひしめいている点や、現在(2月20日セリエBの舞台で首位と大躍進中で、今後Aの舞台でも観れるかもしれない点も見逃せない。機会があれば、是非ともご自身の目でチェックしてみてはいかがだろうか?
 若手逸材と言えば、アッズーリにも呼ばれた3名。GKカルネセッキ、DFオコリ(ともにアタランタからレンタル)、MFファジョーリユヴェントスからレンタル)については、いずれどこかでまた深く掘り下げることにしたいが、クレモネーゼの試合を観てきた感想としては、まだまだAの舞台で通用するかは未知数だが、下位チームなら出場機会は与えられるのではないか、しかしながら、所属元では出場機会は相当限られるのではないか、というのが個人的な感想だ。もちろん、チームメイトやトレーニング環境が変われば、たちまち成長する場合もあるので、一概には言えない。加えてこの感想は、あくまで僕の主観でしかない。当然ながら、観る人によっては抱く感想も違うであろうから、折角なので、繰り返しにはなるが、ご自身の目で確認することをおススメしたい。
 最後に、言い忘れていたガエターノについてだが、こちらも、いずれ機会があれば記事として触れることにしよう。本当はガエターノのことを書くためにクレモネーゼの試合を観ていたのだが、あまりにクレモネーゼが興味深いチームなので、後回しにさせていただく。ただ、先に念のため言っておくと、上記3選手と同じく、まだまだ修行が必要な身だというのが正直な感想だ
 

ナポリのプレイヤー達の契約満了はいつなのか?整理しよう


 カピターノ、ロレンツォ・インシーニェトロントFC(カナダ)への移籍が確定したナポリ。残りの契約が半年を切る中で、高年俸を提示したトロントFCとサインを交わした。そんな中で、同じく契約満了間近のドリース・メルテンスに退団の噂が流れるなど、不安要素が大いに蔓延っているナポリ。ここで、トップチームの選手の状況をいったん整理してみよう。
 選手名と今シーズン終了時(6月末)の年齢を併記しているのでご確認いただきたい。ただし、「*」は、今後6月末までに誕生日を迎えた後の年齢とする(つまり、2022年2月4日時点では、表示から-1歳となる)。
 尚、(※1)はレンタル移籍中で現在ナポリに所属していない選手、(※2)はレンタルでナポリに加わっている選手を示す。


■【2026年6月】

#22/DF ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ(28)

 余程の高額オファーがない限り、ディ・ロレンツォは夏以降もナポリのシャツを着てプレーを続けるはず。2026年6月となると、今から4年半後。つまりこれは、彼が32歳になるまではひとまずプレーを見続けられそうだということだ。もっとも、「世界にバレない」事が前提条件だが。

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今季これまで全試合にフル出場中のディ・ロレンツォ(ナポリ公式より)

 

■【2025年6月】

#6/DF マリオ・ルイ(*31)
#7/MF エリーフ・エルマス(22)
#9/FW ヴィクター・オシメン(23)

 1年半前に契約を延長したマリオ・ルイは34歳になるまでナポリに在籍できる。ナポリ以上のビッグクラブが彼を欲する事は、年齢的にも恐らくないだろう。実力者が現れて退団を余儀なくされるか、はたまた34歳まで共に戦うことになるのか、そのどちらかだ。一方、若い2人は事情が違うだろう。活躍すれば引き抜かれる運命が待ち受けている。特にオシメンは、噂レベルの域を超えないが、プレミア勢が注目しているなど、法外な移籍金が押し寄せる可能性があり、そこの売り時を見逃すアウレリオ・デ・ラウレンティスではないだろう。

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今季活躍中のマリオ・ルイ(ナポリ公式より)

 

■【2024年6月】

#4/MF ディエゴ・デンメ(30)
#11/FW イルビング・ロサーノ(26)
#13/DF アミール・ラフマニ(*28)
#20/MF ピオトル・ジエリンスキ(*28)
#21/FW マッテオ・ポリターノ(28)
#37/FW アンドレア・ペターニャ(*27)
#68/MF スタニスラフ・ロボツカ(27)

 この辺りの選手から、夏の去就が本格的に騒がれそうな気配。本格的に契約延長に向けて動き出しているプレイヤーはいない中、年齢的に脂も乗り、ステップアップには最適な実力を持つ面々も揃う。
 ジエリンスキやロサーノ辺りは、移籍金を積まれれば放出せざるを得ないだろう。とはいえ、特にジエリンスキは、インシーニェが去った後のナポリを引っ張る立場なだけに、流石においそれとは売却しないはずだが…。一方、サラリーが高く、今シーズンは現時点で4ゴールと目立った数字を残せていないロサーノは、換金対象になるかもしれない。
 加入後立場を絶対的なものに変えたラフマニは新たな守備の柱。少しずつ契約延長の話も出てきており売却はしないだろう。その他、準レギュラーのデンメ、ポリターノ、ペターニャ、ロボツカの将来は、現段階では不透明。後半戦でどの立場が与えられるかによって、去就が変わってくる。とはいえ、ここ最近の出来を踏まえると、ロボツカはこの中では一歩抜け出しており、簡単に放出できるような選手ではなくなってきている。契約を当初から1年延長させる動きもあるという報道が出てきているところだ。一方で、実績のあるストライカーはいつでも需要があることから、今季開幕前がそうだったように、ペターニャは買い手がひしめきそうだ。

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放出不可能に近い存在のラフマニ(ナポリ公式より)

 

■【2023年6月】

#1/GK アレックス・メレト(*25)
#8/MF ファビアン・ルイス(*26)
#12/GK ダヴィデ・マルフェッラ(22)
#26/DF カリドゥ・クリバリ(*31)
#33/FW アダム・ウナス(25)
#59/DF アレッサンドロ・ザノーリ(21)
(※1)#-/DF セバスティアーノ・ルペルト(25)

(※1)#-/MF ルカ・パルミエロ(*26)
(※1)#-/MF ジャンルカ・ガエターノ(*22)

 本題はここからだ。ポイントは、今季中に契約延長を果たせなければ、来季終了後(2023年6月=1年半後)のフリーでの移籍も視野に入ってくるという事。それを避けたいのであれば、今季中になんとか契約延長に漕ぎ着けるか、この夏に移籍金を貰って手放すしかない。
 中堅以下の主力級で、残り契約期間が1年半となっているのはメレトとファビアン・ルイスオスピナの牙城が高すぎて出番を得られない前者は、契約延長を拒否したとも伝えられており、ベテランが守護神を張る強豪クラブからの需要は高そうだ。ところが、オスピナの去就が不透明なことを理由に、守護神の座を確約されそうな気配もあり、まだまだ様子を見る必要がある。一方のファビアン・ルイスも契約延長交渉が難航。スペインへの帰還は常に想定されている彼だが、このまま契約延長がなければ、それが実現するのは今季終了後の可能性がある。移籍金は多く入る選手なだけに、来季終了後のフリー退団は、クラブとしては避けたいところだろう。年俸がクラブ内でも下から数えたほうが早い(€1.5m/年)だけに、大幅な条件アップがカギとなる。
 クリバリは契約満了時には32歳を迎える。毎年引く手数多だが、この夏に関しても、会長納得の金額を提示されれば売るというスタンスはおそらく不変。とはいえ、一般的に主力としての先が長くないであろうベテランに大金を用意する位なら、若手有望株を狙うクラブが多く、これまでほど去就を心配しなくても良い可能性がある。焦点は来季中に契約延長を果たせるかどうか。それができなければ来季でサヨナラ(もちろん残留を望む)。
 その他、レンタル組3選手、若手のザノーリ、第3GKのマルフェッラも契約が残り1年半。そろそろひとつのチームに腰を据えておきたいと考えてもおかしくなく、来季の陣容入りをオフに確約されれば、契約延長の交渉が行われるはずだ。一方で放出するならば、移籍金を手にするために完全移籍は確実だろう。特に注目は、今季エンポリの躍進に貢献しているルペルト。現時点での所属が異なれど、左利きで更には左サイドバックもこなせるなど、役割が重なるファン・ジェズスとの「隠れた競争」真っ只中である。
 スーパーサブのウナスは、年齢的にも若く、契約延長を目指してほしいところだが、ロサーノやポリターノといったレギュラークラス次第か。フリーでの退団を避けるべく、今季限りでお別れの可能性もある。

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ファビアン・ルイスの契約は残り1年半を切っているため、この夏は重要な局面だ(ナポリ公式より)

■【2022年6月】

#2/DF ケヴィン・マルクィ(30)
#5/DF ファン・ジェズス(*31)
#14/FW ドリース・メルテンス(*35)
#24/FW ロレンツォ・インシーニェ(*31)
#25/GK ダヴィド・オスピナ(33)
#31/DF ファウジ・グラム(31)
(※2)#99/MF アンドレ・フランク・ザンボ=アンギサ(26)

 インシーニェはトロント行きは確定した。そうなると俄然注目なのは、ナポリアイデンティティ的な存在、メルテンス1年の契約延長オプションが存在するが、フロントはそれを行使するかどうか。「皆が考えるナポリの色/スタイル」を残したいのであれば、残留が基本路線となるが、インシーニェ退団のタイミングで一気に色/スタイルを変えたいクラブの意向も透けて見える。サラリーも高い。最近では古巣のPSV(オランダ)やアメリカ行きの噂も浮上。(クラブに優位性があるともいわれる)オプションが行使されるかどうか要注目だ。同様にファン・ジェズスも契約延長オプションが付いているが、こちらはCL出場権を獲得した時のみの条項付き。ここまで悪くない活躍をしているが、年齢がネック。前述のルペルトとの争いとも関わってくるだろう。
 残念ながら、このままだと退団が濃厚だと伝えられているのは、サイドバックを務めるマルクィとグラム。控えとはいえ、両者ともに30オーバーなだけに、サイドバックの若返りも図らないといけない。現主力のディ・ロレンツォとマリオ・ルイも30歳前後だからだ。
 オスピナの去就は依然不透明だが、残すべき人材であることに疑いの余地はない。特に今季は目立たぬがセリエA最少失点の守備に多大な貢献をしている。パス能力の高さも併せ持つ、リーグ屈指のGKだ。カルロ・アンチェロッティが監督を務めるレアル・マドリーも目をつけているなどとも言われている。
 最後にアンギサ。レンタルの身だが、ここまで十分な活躍を見せており、買取すべき存在だ。買取額は€1500万だそう。このレベルの選手にしては、決して高い金額ではない。

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シーズン終了時には35歳になっているメルテンスナポリ公式より)

 

 いかがだっただろうか?インシーニェの退団とともに、ガエターノの復帰が予想されていたり、すでに若手サイドバック物色の動きが報道されるなど、とにもかくにも若手を狙いつつ人件費カットも図るナポリ。チャンピオンズ・リーグ(CL)に出られなかった昨季は興行的にも痛恨だったようだが、その波は形を変えて、人件費をカットさせるという形で今でも押し寄せている。メルテンス残留はおそらく誰しもが望むことだが、あの会長(アウレリオ・デ・ラウレンティス)は周囲の声にアタフタするようなタマではない。容赦なく放出を宣言する可能性もかなりあるはずだ。
 愛すべき選手たちが居なくなっていくのは悲しいことだが、エディンソン・カバーニマレク・ハムシクのような選手たちが居なくなっても、次々にアイドルは誕生してきた。ナポリというチームを愛するものとして、インシーニェ(やメルテンス)に代わるアイドルは、時間がかかってもきっと出てくるはずだと、そう願って、結びとしたい。

 

エンポリ会長:「バイラミとパリージをキープし続けるには苦労するだろう」

 

  ファウジ・グラムの契約が残り半年となり、来季以降の左サイドバックの補強に目を向けているナポリ。ヘタフェ(スペイン)のマティアス・オリヴェラ獲得の噂も囁かれる一方で、国内ではエンポリファビアーノ・パリージ獲得にも興味を示していると、いくつかの媒体で報道されている。そんな中で、エンポリのファブリツィアーノ・コルシ会長が、パリージを含め、ナポリが注目するタレントたちについて、『Radio Marte』のインタビューに答えた。『Corriere dello Sport』が伝えている(関係箇所を抜粋)。

 「(ルチアーノ・)スパレッティは(ネディム・)バイラミのことが気に入っているって?私は彼とはすばらしい関係を築いてるが、下手なことを言って彼を困らせたくないね。」

 トスカーナ出身のコルシ会長の元には、数多くのクラブからの問い合わせがあるという。もちろんそれにはナポリも含まれており、コルシ会長はこのインタビューでもそのことについては隠し通そうとはしていない。

 「9月に我々はスパレッティと会ってね、そしてフットボールについていろいろと話したよ。(ナポリの)デ・ラウレンティス会長とはしばらく連絡を取り合っていないね。時々連絡は貰ってはいたんだけどね。我々のマーケットは閉じてるよ。バイラミとパリージ?彼らは偉大なチームでプレーできる選手であり、6月には彼らをキープし続けるには苦労することになるだろう。何年もの間所属している選手たちは、異なる期待やモチベーションを必要としている。興味を持たれても不思議ではないよ。
 いずれにせよ、我々の目標は残留を果たすことだ。降格ラインからはアドバンテージがある。カテゴリーを保たなくてはならない。」

 インタビューの最後には、ナポリからレンタルで加わっているセバスティアーノ・ルペルトについても触れている。

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ナポリ戦で先発出場したルペルト(エンポリ公式より)

 「ルペルト?彼には個性があり、彼の隣でプレーする若い選手たちは、それがアドバンテージになるだろう。」

 尚、現在ルペルトは左大腿四頭筋を痛めており、ケガで欠場中。ここまで14試合に出場している。

 

トゥアンゼベってどんな選手?聞いてみました!

 

 ナポリは1月7日に、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)からアクセル・トゥアンゼベの獲得を発表した。移籍形態は、買取オプションなしの単純レンタルとなる。

 未経験のセリエAの舞台とはいえ、センターバックはカリドゥ・クリバリ不在で苦しい台所事情。それを考えると、早々に活躍してもらわなければならないトゥアンゼベ。果たしてどんな選手なのだろうか。セリエAを中心にしか試合を追っていない我々からすると、なかなかどんな選手か想像付かないのが本音である。
 ということで、ナポリ・デビューを果たす前に、今季前半戦のレンタル先、アストンヴィラ(イングランド)の公式サポーターズクラブ「AVFC Japan🇯🇵」(@AVFC_JPN)さんに、トゥアンゼベについてのお話を聞いてみた(写真はナポリ公式より)。

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――トゥアンゼベについて触れる前に、まず初めにアストンヴィラの今季のチーム状況について教えてください。

ここ数年、クラブを引っ張ってきたジャック・グリーリシュが移籍し、21年夏に5名の新戦力を獲得しました。 前指揮官、ディーン・スミスはグリーリッシュありきの戦術で勝ってきた監督だったのでやや苦戦気味の開幕スタートとなりました。 加えて主力の怪我や新型コロナウイルス感染もあり、ベストメンバーがなかなか揃わず、第11節までに5連敗を喫しスミスは解任となりました。
後任に(スティーブン・)ジェラードが就任し、怪我人も戻ってくるとチームは調子を取り戻しました。

 

――その中でのトゥアンゼベの役割や出来などについて教えてください。

トゥアンゼベの出来はあまり良くなかったです。というのも、タイロン・ミングスとエズリ・コンサと2人の絶対的なレギュラーがいるため、立ち位置的には3番手でした。 プレミアリーグで数試合先発起用されていますが、それは3バックを採用したときのみ。しかもあまり適正のない3バックのセンターだったのでパフォーマンスは良くなかったです。チェルシー戦では(ロメル・)ルカクにかなり苦戦しました。
いちばんの特徴は足の速さですね。昨季のCL、PSG戦では(キリアン・)ムバッペにも走り勝ってます。

――スピードの持ち主ということは分かりました。1対1の強さはどうでしょう?

1対1は強い方だとは思いますけど、プレミアの一戦級のCBと比較すると物足りなさはありますね。

――プレーの特徴や、長所・短所を教えてください。

身長は186cmありますが、空中戦は強くもなく弱くもないという感じです。キャリアを通じて0ゴールということからも明らかなように、セットプレーで脅威とはなりません。
足元は特別うまいというわけではないです。下手ではないので普通に繋げます。 右SBでも起用できますが、攻撃での貢献度はかなり低いです。

――やらかし癖、いわゆるポカをするタイプかどうか教えてください。プレミアリーグもそうだとは思いますが、セリエAでも集中力を求められます。

今季は1回あったぐらいですね。チャンピオンシップ時代はあまりなかったと思います。

――マンチェスター・ユナイテッドからレンタルされた理由は何でしょうか?

今回が3度目のヴィラへのローンです。1回目は18年冬~18年夏、2回目は18年夏~19年夏です。 CBはミングス、コンサ、ホースの3名しかいなかったので3度目の獲得に至りました。
本人としても既に顔なじみのある選手、スタッフが多いということ、そしてスミスの戦術も理解しているということで慣れ親しんだクラブに来たという形です。

――このタイミングでレンタル先がナポリに変わる理由は何でしょう?やはり試合に出れないからかな?とは思いますが…。

それは出場機会ですね。
ミングスとコンサと比較するとどうしても見劣りしてしまうので、残留したとしても試合に出場することは困難だと思います。

――最後に、折角ですのでアストンヴィラのPRをどうぞ。

オーナーがしっかりとして将来のプランを考えている人物で、数年以内のCL権獲得、そして2度目のビッグイヤー獲得を最終的な目標に掲げています。
30代の選手はアシュリー・ヤングしかいないので、スカッドの平均年齢はかなり若いです。 アカデミーも優秀で昨季はFA Youth Cupを制しています。
現所属の選手の能力も高く、今後さらに成長する可能性がかなり高いチームなので、ぜひこれから先も注目して見ていただけたらなと思います。


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 いかがだっただろうか?セリエAではフィカヨ・トモリ(ミラン)のような、若いプレミアリーグ出身のセンターバックも活躍している。トゥアンゼベはプレミアリーグで出場機会に恵まれていなかった(リーグ戦19試合中、先発6試合、途中出場3試合)とはいえ、周囲の環境が変わると途端に活躍できるようになるというのは、よくあることだ。
 今回は買取オプションのない、いわゆるドライローンだ。トゥアンゼベと同じくマンチェスター・ユナイテッドからドライローンでセリエAに渡ってきた選手には、ローマのクリス・スモーリングがいる。彼はセリエAの舞台で結果を残し、その後は完全移籍を請われるようになった。それぐらいの活躍を見せてくれることに期待をしよう。

 最後に、トゥアンゼベについて丁寧に教えていただきました、AVFC Japan🇯🇵さん、ありがとうございました!

生まれ変わったのか?俺たちのマリオよ

 

 彼は生まれ変わったのか―?

 カンピオナートで開幕から8連勝を飾り、ここのところ取りこぼしが増えてきたとはいえ、現在のところ首位インテルとは4ポイント差で2位につけるナポリ。相次ぐ負傷者が首位陥落の要因であることは間違いないが、そんな中で、全試合にスタメン出場を果たしているのが、「鉄人」の愛称で名高いジョヴァンニ・ディ・ロレンツォなのは言うまでもない。だが、それに次ぐ先発出場回数とプレー時間を数える選手はお分かりだろうか―?

 マリオ・ルイである。

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サイドバックとしてフル回転中のマリオ・ルイ(ナポリ公式より)


 信じられるだろうか?

 この男は長らくナポリの左サイドバックで定期的な出場機会を得ていたとはいえ、いわば消去法的な選択に過ぎなかった。毎年噂され続ける、彼を控えに追いやるような選手の補強。いつまでも消えずに追い求めてしまう、ファウジ・グラムの全盛期の姿。いずれもマリオ・ルイに物足りなさを感じていたからに他ならない。それでも試合に出続けていたのは、それら2つの願いが、もう5年程叶っていなかったからだ。過去にはマッテオ・ダルミアンインテル)、アレックス・グリマルド(ベンフィカ)、キーラン・ティアニー(アーセナル)らがリストアップされるも獲得には至らず。グラムは長期離脱の連続。今シーズン開幕前は、左サイドバックのポジションがそんなネガティヴな状況であるにもかかわらず、マリオ・ルイ自身も売却の対象として名前が上がるようになっていた。恐らく誰しもが、彼はナポリで陽の目を見ることなく、ひっそりと姿を消すことを想像していたはずだ。

 怠慢な集中力故にムラのある守備を克服できず、どちらかと言えば攻撃的とはいえ、左のオープンスペースを独力でこじ開ける能力までは持ち合わせていない。それが大方のマリオ・ルイの評価だった。規律をより重んじたジェンナーロ・ガットゥーゾ前指揮官が、右を本職とするエルセイド・ヒサイ(現ラツィオ)をマリオ・ルイに代わって重用した事実からも明らかだ。

 だが、新指揮官ルチアーノ・スパレッティの下で彼は生まれ変わっている。元はローマで1年間時間を共にした彼らは、既に信頼関係があったからだろうか、マリオ・ルイは比較的スムーズに戦術を吸収し、今やチームの重要なピースの1つとなっている。

 チームの重要な攻撃の形のひとつは、後方からの綿密なビルドアップにあるが、マリオ・ルイはそれに大きな貢献をしている。最前線をヴィクター・オシメンが務めるなら、彼の前方のオープンスペースに、ドリース・メルテンスならば足元に正確なボールを供給できる。1試合当たりのパス本数に関してはセリエAで7番目。キーパスの本数は、セリエAサイドバックの中ではフェデリコ・ディマルコ(インテル)とクリスティアーノ・ビラーギ(フィオレンティーナ)に次ぐ本数を記録しているというデータ(12月18日現在/SofaScoreより引用)が、彼の重要性を物語る。そればかりか、相手陣地に攻め上がった際には、バイタルエリア付近に相手にとっては極めて危険な斜めのパスを送り込み、シュートチャンスには果敢に顔を出す万能っぷり。「マリオ・ルイの右足でのジャンピングボレー」(サッスオーロ戦)、「ロビン・ゴゼンス(アタランタ)のようなファーサイドへの突進&ヘディングシュート」インテル戦)という、一見するとありえなさそうな世界線が実現しているのである。

 30歳にしての彼自身の大幅なアップデートがあったわけではない。マリオ・ルイの特性にスパレッティが志向するフットボールがマッチした。いやむしろ、スパレッティがマリオ・ルイの特性を生かしたフットボールを展開していると言ったほうが正しいかもしれない。ピッチ中央寄りでのボールの持ち方とパスの出し方(外に展開するボールの持ち方をしながらも、スマートに鋭い縦パスを打ち込むことができる)は、彼特有のスキルであり、それがオシメン、メルテンス、ピオトル・ジエリンスキ(特に後者2人は長らく共にプレーしてきたため、共通理解が十分だ)といった面々の活躍を引き出す―。ナポリでの彼の重要度は、日に日に増すばかり。長らくナポリティフォージからの批判の対象だったはずだが、スパレッティの下で自信を深めた彼を欠かすことはできないだろう。

 

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練習中に滑り込むマリオ・ルイ(ナポリ公式より)

 こうなると不安なのは、彼にケガでの離脱が起きた時だ。30歳になった彼は、ディ・ロレンツォのような鋼の肉体を持っているわけではない。前半戦はほぼ完走を果たした彼の控えを受け入れる左サイドバックを探す必要性がある。

 さて、生まれ変わったのか―?という冒頭の問い。生まれ変わった姿で躍動するマリオ・ルイを見る喜びもある一方で、闘志を剥き出しにするプレースタイルと、どこか漂う「雑魚キャラ感」(上の写真を見ればわかるだろう)は不変だ。これまでのティフォージからの批判は、期待の裏返し。見事に批判をプレーで打ち消したマリオ・ルイは、大いに称賛されるべきで、確かに生まれ変わったはずである。

 しかしながら、結局のところ、どこかネタ要員扱いからは永遠に抜け出すことができないであろう彼の変わらない姿もまた、同時に見続けられることを期待している。なんだかんだで、マリオ・ルイをそんな感覚で観続けることができる僕らは、例年にも増して幸せ者だと思うのである。

 

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「忍者」として公式Twitterに紹介されていた

 

【ひとりごと】 夢は傍目に、まずは目標を

 カンピオナートが開幕してから12試合を終え、10勝2分けで未だ無敗。勝ち点は32ポイントという、正直言って望外の好成績を残しているナポリ。開幕前に新指揮官ルチアーノ・スパレッティは、「チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を目指す」とはっきり述べていたが、順位表を見てみると、現時点でそのボーダーラインとなる5位ラツィオ(21ポイント)と11ポイント差も付けている。同勝ち点で並ぶミランとは、激しい首位争いを繰り広げている最中だ。

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経験豊富なスパレッティの手腕がナポリの好調ぶりを支えている(ナポリ公式より)



■最終目標がCL出場権獲得であることに変わりはなし

 ナポリっ子達は縁起をかつぐために、軽々しく夢を口にしないようだ。だから、ここからは現実的な話をしよう。

 先ほども書いたとおり、ナポリのここまでの成績は望外であった。その理由のひとつは、新戦力の欠如。指揮官がジェンナーロ・ガットゥーゾからスパレッティに代わった以外は、見覚えのあるメンバーばかり。昨シーズン、CL圏内の順位を勝ち取れなかったチームに漂う不穏な雰囲気はそのままに、そこから空気を大きく入れ替えるには(失礼だが)年老いて、新鮮味も欠けていると思われていたスパレッティ。それを感じ取ってか、識者やファンの間では、ナポリは大方CL圏内を争う程度の成績が限界との見方が強く、首位争いを演じることは予想されていなかった。
 だが、ほんの僅かな可能性を掴み取り、怒涛の快進撃を遂げている。いわゆる「新セブンシスターズ」との直接対決が、未だローマとユヴェントス戦しかないという好条件下にあることや、数少ない新戦力のアンドレ=フランク・ザンボ・アンギサが大ヒットするという幸運にも恵まれているのは事実だ。だが、それを踏まえてもこの成績は、ファン目線からしても奇跡的である(事実、開幕12戦で32ポイントは過去最高だ)。

 とはいえ、現時点でいくらこのような素晴らしい成績を残したところで、最終目標がCL出場であることに変わりはない。クラブの財政やスカッドの規模を考えれば、それが目下で一番優先されるべき立ち位置であろう。CL出場が叶うのであれば、今いる首位という立ち位置には拘らないというのが本音である。これを弱腰と非難する者がいるかもしれないが、昨シーズン最終節のエラス・ヴェローナ戦で味わった地獄と屈辱を振り返れば、やはりどう言われようが、まずはCL出場権獲得。これに尽きる。

 今後はおそらく、ナポリが苦境に陥る時がやってくる。なにせ選手層は(特にディフェンスラインを中心に)厚いとはいえず、冬場にはアフリカ・ネーションズカップで攻守の柱、ヴィクター・オシメンとカリドゥ・クリバリや、前述したアンギサなど、主力・貴重な控えメンバーの大量離脱もすでに想定されている。ナポリ保有者、アウレリオ・デ・ラウレンティスがいつちょっかいを出してくるのかも分からない。調子を落とせばズルズルと引きずるのが僕らのナポリであり、だからこそ、年末にかけて、現在同率で首位に並び立つミランに差をつけられる可能性は大いにあるはずで、気づいたらインテルにも抜かされるというシナリオも想定内だ。流石にその時期までは5位との11ポイント差を追いつかれないようにしてほしいものだが…。

 迎える11月の代表ウィーク明けの対戦相手は、第13節のインテル。このビッグマッチを皮切りに、ラツィオアタランタミランといった、「新セブンシスターズ」の一角に名を連ねるチームなどとの戦いが、年末にかけて続く。どのクラブもナポリ攻略法を編み出してくるだけに、今後の対戦相手に勝ち点3を掴みとる事は容易ではないはずだ。

 やはり目下の目標はCL出場権であり、スクデットの最有力は、現時点ではミランだろうか。

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移籍後まもなく中盤のキープレイヤーとなったアンギサ(ナポリ公式より)



■夢は傍目に置いて

 このような現実的な話をする一方で、結局のところ、我々日本人はナポリっ子ではないのだから、「夢」についても語ってみよう。

 簡潔に、スクデットこそが、最大の夢である。

 今シーズンに関しては、優勝を争う上位クラブの中で、指揮官が変わらなかったのはミランアタランタのみというカオスぶりから、混戦になるのが濃厚だと目されていた。そんな中で、とりわけ苦戦は避けられないと目されていたナポリが今のところ首位を争う位置にいるのだから、夢を見るなと言う方が難しいのは承知している。 

 そして実際に今、夢を見ることができている。これがどれほど素晴らしいことか。屈辱だらけの過去のシーズンを振り返れば、この夢を見続けられるようにして欲しいと思わずにはいられないが、忘れてはいけない。スパレッティ政権1年目の目標を先に叶えるのが先決だ。

 目標はCL出場権。それに向かって一戦一戦勝ち進んでいった更に先にあるのがスクデット。確かマウリツィオ・サッリも同じようなことを言っていたが、夢を傍目に置きながらもまずは目標に向かって突き進むべし。そう簡単に夢は叶えられるものではないことは重々わかってるし、縁起を担ぐナポリっ子のことも少なからず理解できるからこそ、そんな感じでカンピオナートを走り続けてほしいと願っている(どういうことかと言うと、そんな感じで僕は応援しています)

デンメ:「チームのために全てを捧げたい」

 

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レギア・ワルシャワ戦でのデンメ(ナポリ公式より)

 
 現地時間の10月21日(木)に行われたヨーロッパ・リーグ(EL)のレギア・ワルシャワポーランド)戦で、見事3-0の勝利を収めたナポリ。前半は苦しんだチームだったが、システム変更とメンバー交代を機にゴールを立て続けに決めることに成功。次節のローマとの「Derby del Sole(太陽のダービー)」に向けて弾みをつけることに成功した。

 この試合にケガからの復帰後初の先発出場を果たし、献身的な働きでチームの勝利に貢献したディエゴ・デンメが、試合翌日の22日(金)、「Radio Kiss Kiss」のインタビューに答えた。

 

「僕はもう既にケガから完全に回復したし、昨日のパフォーマンスも喜ばしく思っているよ。(アンドレ=フランク・ザンボ・)アンギサは技術もあってパワフルな選手だから、その隣でプレーすることは更なる自信を僕に与えてくれる。
(ルチアーノ・)スパレッティは凄いことをやっているよね。彼は僕らに自身を与えてくれるし、細かいところまで詰めるんだ。スカッドのメンバー全員がプロジェクトに関与し、フィジカル的にもみんな調子がいい。十分な強度でトレーニングを積んでいるし、それを維持していきたいと思っているよ。
スパレッティは僕に対して本当に手助けしてくれていて、全ての動きを説明してくれるし、大切なことをインプットすることができているよ。評価してくれて嬉しいね。僕はチームのために全てを捧げたいし、信頼にこたえていきたいと思っている。」

ー試合後、カピターノ(ロレンツォ・インシーニェ)を称賛していましたが?

「そうだね。彼はトッププレイヤーであり、しかも昨日はその能力を十分に見せつけていたんだ。僕らは彼のすぐ後ろにいたからね。彼は僕らを前向きに導いてくれる選手で、自分で違いも作れる選手だよ。」

ーあなたは昨日、ゴールに迫ったが?

「そうだね。ポストの右側に行ってしまったからね。でも次は決めれるようにするよ。重要なのはチームの勝利と、ヨーロッパの戦いで僕らの名前を刻むことだ。」

ー今季ヴィクター・オシメンが、昨シーズンのケガの欠場からからここまで活躍するとは予想してましたか?

「僕は間近でこんなにも良い攻撃の選手は見たことがない。これまでプレーした中でもいちばんのストライカーだ。彼はセンセーショナルな選手であり、時々その勢いは手が付けられないほどだよね。」

ー次のローマ戦は歴史と伝統に満ちていますが?

「僕たちはどの試合にも同じメンタリティで臨む。ローマは昨日負けたようだけれど(FKボテ/グリムト(ノルウェー)に1-6)、日曜日は確実に修正してくるはずだ。プレーしやすいどころか、とてもタフなゲームになるだろう。」

ー今シーズンの目標は?

「このまま地に足を着けて進んでいかなければならないけど、全ての試合に必ず全力を尽くす必要もある。僕はナポリで満足している。ファンはたくさんの愛情を注いでくれるし、だからこそ僕らはそれに大きなモノで応えたい。スタディオ・マラドーナでのサポートは僕らを後押ししてくれるよ。」

 

 怪我からの復帰後、まだカンピオナートでの先発機会がないデンメだが、そのいぶし銀の活躍はチームにとって不可欠だ。彼が不在の時にもチームが好調だったとはいえ、彼の力なしでは長いシーズンは戦えないだろう。ローマ戦後には続々とビッグマッチが訪れるだけに、スパレッティも期待を寄せる彼の活躍から目が離せない。