GIFT

Forza Napoli Sempre !

始まりに過ぎないナポリでの"地殻変動"

 


f:id:napoli9627:20190203232340j:image

人生において、別れというものは突然にやってくる。

最愛の恋人や家族など、それまでの過去とは打って変わり意外とあっさりと、しかしそこには積み重ねた過去の分以上の悲しみを伴って訪れる。

 

 

マレク・ハムシクナポリを退団。中国の大連一方へと移籍した。

 

31歳である。

 

まだまだナポリでレギュラーとしてプレーでき、そして実際にしていたにもかかわらず、彼は新天地を中国に求めることになった。

 

これは僕たちナポリのサポーター・ファンを多いに悲しませた。

だが、彼にとっては新たなる挑戦だ。悲しみの涙よりも、励ましの拍手で送りたい。

 

 

 

◼️ナポリで過ごした12年間

 

彼がナポリに加入したのは2007年。12年(正確には11年半と少し)前にセリエAに昇格したタイミングでチームの一員となった。

彼のここでのキャリアと功績をもはや説明する必要もないだろうが、改めてその偉大さを示すために記しておこう。

 

ゴール数:121(歴代1位)

(全コンペティション)出場試合数:520(歴代1位)

(セリエA)出場試合数:408(歴代1位)

CL出場試合数:36(歴代1位)

 

ナポリにとっては「レジェンド」とも言える存在だ。マラドーナの背番号10が永久欠番なら、彼にも永久欠番という栄誉が与えられて良いと思っている。デ・ラウレンティス会長がそれをするか定かではないし、僕はマラドーナナポリという街でどれほど偉大なのか、正直そこまで把握しているわけではないが。

しかし、紛れもなくここ数年のナポリを作り上げた功労者であるのは確かだ。

 

エディンソン・カバーニエセキエル・ラベッシがPSGへと去り、彼もそれに続くのではないかと、それこそナポリのような、言ってみれば中堅クラブの宿命かと思われた。しかしながら、彼はナポリに忠誠を尽くし続けた。ファンとしては最高の選手だ。

 

 

だが、物事には始まりがあれば終わりもある。

これは誰しも抗いようがないことだ。

 

そしてこの選択は、ナポリの人々や応援するファン達の心を大きく揺さぶった。

それを例えて、本記事のテーマとして"地殻変動"という言葉を用いたが、それの引き金となった要因はいくつかある。

 

 

 

◼️ベテランとなったハムシク

 

昨シーズンのスクデットレースで王者ユヴェントスに敗れたことが尾を引いているのは間違いない。

もともとカルロ・アンチェロッティ就任直後から中国行きの噂は流れていた。

だが、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長とアンチェロッティの要望に応え、ハムシクは残留。カンピオナート初戦から、これまでと同じように、チームと共に歩んできていた。

 

だがやはり大きな転換点となったのはチャンピオンズ・リーグでの敗退だろう。スクデット獲得もかなり難しい今、チームも、そしてハムシク自身もCLには期するものがあったはずだ。

それでの上位進出が叶わないものとなった今、彼のナポリでのモチベーションは少なくなってしまったのかもしれない。

 

日本にいる、特段ナポリを応援していない人は「中国=カネ」というイメージから、移籍に際しては、結局カネか!という考えを持つ人もいるかもしれない。

僕はこれを否定したくもある。なぜなら、長らく応援してきた(もっと長く応援されてきた方ももちろん居ます)カピターノが、そんな「カネに流れた!」だなんていう風に言いたくはない、そして認めたくはないからだ。

 

しかし、そのお金に関しての指摘はあながち外れではないだろう(認めたくないけど)。ハムシク本人の想いは分からないが、お金は重要だ。間違いなく。

 

一方で、本人は、

「欧州で、ナポリ以外のユニフォームを着て戦うことなど考えられなかった」

「新しい挑戦がしたい」

とも語っていた。

 

人生は長い。まだ若い僕でもそれは分かる。

そして、新しい挑戦をしないと、新たな出会いや発見、自分の成長(これはサッカーの技術的な部分に留まらない)に繋がる何かが見当たらないのも確かだ。

ハムシクは残りのキャリアでそれを探しに行く決意を固めたのだろう(あくまで推測だが)。

 

しかし、そんな決断の中にも、12年過ごしたナポリへの想いをしっかりと残してくれた。

 

ナポリ以外のユニフォームを着て戦うことなど考えられなかった」

 

この発言こそ全てだろう。

 

 

 

◼️もうひとつの要因

 

ハムシクナポリを去る決断をしたもうひとつの要因として、若手の成長が挙げられるだろう。

 


f:id:napoli9627:20190221102320j:image

 

写真は今季からベティス(スペイン)より加入したファビアン・ルイスだ。

 

当初は左のサイドハーフとしてプレーしていたが、ターンオーバーを採用すると中盤の真ん中、ドイスボランチの一角でプレーするようになる。

年末のインテル戦でハムシクが怪我をしたが、これを機に中盤センターでプレーする頻度が確実に増え、更には良質なプレーを見せる。

 

また、footballitaliaによると、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長は次のように語っている(上手く訳せていなかったらすみません)。

ファビアン・ルイスが(ナポリに)来たとき、ハムシクは2つの役割をこなせる異なる4人のプレイヤー(そのうちの一人がファビアン)が既にいることを理解していた。私は彼に、ナポリを離れて中国で大金を手にしたいか尋ねる事ができた。

 

確かに、ファビアンに限らず、彼を含めてピオトル・ジエリンスキやアラン、アマドゥ・ディアワラの4人はハムシクよりも若く、それに優秀なプレイヤー達だ。

ハムシク離脱時に彼らは良質なプレーを見せた。

 

また、これはアンチェロッティの監督就任という側面でもあると見てとれる。

前任のマウリツィオ・サッリとは異なり、ハムシクアンチェロッティから常時スタメンの座を与えられていたわけではないのだ。

 

ターンオーバーでベテランの彼を休ませ、それが若手選手のプレー機会を生み、結果的にハムシクナポリを退団しても大丈夫だという結論に至ったと考え付く。

 

 

 

◼️続くかもしれぬ"地殻変動"

 

ハムシクは退団したが、これはひょっとすると"地殻変動"の始まりに過ぎないかもしれない。

 

勿論、彼の退団というのは、恐らく他の選手が退団するよりもメンタルに突き刺さるものがある。それはそれで一種の"地殻変動"と称すべきことであるのは冒頭でも触れた。

 

が、単純な戦力としては別だ。ベテランのドリース・メルテンスホセ・マリア・カジェホンも、退団前のハムシクと同等の影響力を持った選手であることは間違いないだろう。むしろ、特にカジェホンは未だ替えの効かない存在かもしれない。

 

だがしかし、この夏は積極的な補強に出るという噂も耳にする。候補に上がっているのは、イルビング・ロサーノ(PSV)をはじめとした若手有望株ばかりだ。

ベテラン中心のメンバーから若手への移行という意味での"地殻変動"も進んできているのは、ファビアンらの台頭からも見てとれる。

 

そして、もしロサーノらの獲得が噂通りにいけば、メルテンスカジェホン、現在負傷離脱中のラウール・アルビオルもその"地殻変動"の例外ではなくなる。

サッリが作った一時代の主力にも確実にその時が近づいている。


f:id:napoli9627:20190224205221j:image

 

だが繰り返すが、物事には始まりがあれば終わりがある。それが世の常だ。

サッリのフットボールが少しずつアンチェロッティのそれに変わってきたように、選手も移り変わっていくというものだ。

 

確かにもし、ナポリの一時代を築いたベテランが夏以降に退団するような事が相次げば、やはり我々ファンは悲しむに違いない。

だが彼らはプロである以上、チームにサイクルがあること、そして熱狂的なファンがいつも彼らを支えてきたことを理解しているはずで、それを仇で返すような選手ではないはずだ(どこぞの誰とは言わない)。

 

そして、クラブの歴史の中でも輝かしいサイクルのひとつとして記憶されるために、また着実に近づくサイクルの最後(と決まってはいないが)を華やかに飾る上で、何よりも大切になってくるものがタイトルだ。

 

ヨーロッパリーグ(EL)。

スクデットが厳しい今、もう今シーズンはこれしかないだろう。

 

ハムシクがELをチームに託したように、僕らも全力で応援したいし、きっとチームも渇望している。

それが"地殻変動"が完結した後の、次のサイクルの素晴らしい遺産となることを信じている。